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茶室と露地

03.床の間

めに

現在制作中

❙床の間とは?  茶室の基礎知識​ ~

『床の間~とこのま~』とは今日では「掛物」や「花入」などを飾る『床~とこ~』のみを指し称するが正式には「書院造」において『床』を中心に採光側の『付書院』逆側の「違棚」や「袋棚」を含めた『脇床』これらすべてをまとめ『床の間』と称します。

『書院造』では『床の間』のある方を「上座」、その反対を「下座」といい、江戸時代(1603-1868)以前の大名屋敷や城郭の御殿においては「上座」のことを「上段」、それ以下を「下段」や「中段」などと称しています。

❙付書院❙

『付書院』とは和室や『床の間』の脇に設けられる書院で採光のために障子だけがついた「平書院」と採光のための障子と棚板で構成された『付書院』がある。
南北朝時代(1336-1392)に文箱などをおいて鑑賞するために設けられた。

❙脇床❙

茶席には季節の花を飾ります。花入れはその花を入れる器をいいます。
飾り方によって「置き花入」、「掛花入」、「釣り花入」と使い分けられます。
素材は金物、陶磁器、竹、籠などがあります。

の間の歴史​ ~ ​床の間​ ~

床の間とは元来は仏家にて仏像を飾っていた「押板」や「棚」であり、それがやがて武家にも広まり武家では仏画や仏具を置く「床飾」がはじまったとされる。

室町時代(1336-1573)の「書院造」では壁に「掛物」を掛け「三具足(花瓶・香炉・燭台)」や「置物」などを飾るところは「押板」であり『床』は貴人が座る一段高くなった『上段の間』を指していました。

やがて『上段の間』と「押板」を折衷したような『床』の形式が現れ、この頃の領主や当主は『床』には『名物道具』を飾る場所という考えが支配的で自らの権力を演出する役割もあったと推測される。

もとは書院造の『床の間』であったが茶の湯と禅の結びつきもあり『茶室』にも取り入れられることとなる。
『茶室』では『床』の大きさも縮小され『[茶人]武野紹鷗(1502-1555)』の「四畳半」では二尺三寸となっており、『壁は張付け』『床縁は黒塗』でなければならないとされていました。

その後『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』による『茶室』の『草庵化』が進むにつれて『床』の「間口」も五尺、四尺と縮小され「床柱」や「床縁」も丸太となり、土壁で侘びた床構えとなっていきました。

江戸時代(1603-1868)には一部の庶民の家屋においては自身よりも身分の高い客人を迎え入れるために『床の間』の「座敷飾」がおこなわれ、明治時代(1868-1912)以降になると、多くの庶民の家屋にも「客間」や「応接間」に『床』が一般化するようになる。

しかし今日では掛軸を掛ける習慣が衰えるとともに住宅も西洋化により畳の部屋も少なくなったことから『床の間』の役割は衰退していくこととなる。

の位置 ~  ~

厳格な「書院」では正面奥の左側に『床の間』、右側に「違棚」、『床の間の』左の縁側面に「付書院」が設置されるのが正式で、これを『本勝手』、反対に『床の間』の左に「違い棚」、右に「付書院」のものは『逆勝手』と呼ばれます。

『茶室』では「点前」を北に向かっておこない、『床』を北に設け、東より陽の光を入れるのが理想とされており基本的な『床』の位置については下記の三つがあげられます。

❙上座床❙

点前座からみて正面右側(東側)に『床』を設けたものを『上座床』または『本床』と称します。

❙下座床❙

点前座からみて後面右側(東側)に『床』を設けたものを『下座床』と称します。

❙亭主床❙

点前座に『床』を設けたものを『亭主床』と称します。

『床』は「勝手口(茶道口)」から遠く客座の方に配置され床前が「正客」の座とされましたが後に多様な「茶室」が造られていくなかで『床』の位置も様々なものが現れてきます。

の​​構成 ~  ~

一般的な茶室においての『床』としては「床柱」と「相手柱」との間に一段高い畳面の「床」を作り、段差の出来た「床縁(側面)に「床框」を設け、上部は天井から吊るした小壁を「落掛」で受け止めます。
またこのような形式の「床」を『本床』と称します

❙床柱❙

「床柱」とは床の脇にたてる化粧柱で床を挟んだ反対側の柱を「相手柱」と称します。
正式には「書院造」で用いられた「角柱」であるが『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』による『茶室』の『草庵化』により小間の茶室では「丸太」を用います。
昔は「床柱」と「相手柱」は対として考えられていたが江戸時代(1603-1868)頃より「床柱」の重要性が増すこととなる。
今日では多くの『茶室』において景色のある材木や銘木を用いています。

❙床框❙

『床框』とは『床』と前面の「畳」に段差がある場合に設ける平行材をいいます。
昔の「四畳半」の「茶室」では『床框』の下には一寸余りの「押板」を入れていたがやがて「押板」は省かれ「畳」に直接『床框』を設けるようになったといわれています。

❙落掛❙

落掛とは、床の正面上部に床柱の間に左右に渡した横木をいい天井からの小壁を受け止めます。

の形 ~  ~

当初、『茶室』における『床』は「一間床」でしたが『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』による『茶室』の『草庵化』が進むにつれ『床』の「間口」も狭まることになります。
またそれまで「角柱」であった「床柱」や「床框」には「丸太」が設けられるようになり、壁もそれまでの「紙張り」であったものを「土壁」に改めました。

その後『[利休十哲]堺千家/千紹安(道安)(1546-1607)』が「台目床」を創案し「小間」で用いられるようになります。

=床の大きさ=

現在制作中

❙枡床❙

間口91~96cm

❙台目床❙

間口130~143cm

❙六尺床❙

間口182cm

❙一間床❙

間口191cm

❙七尺床❙

間口212cm

=床面=

現在制作中

❙畳床❙

『床』の面に畳を設けた床で畳面と床框は段差のない平一面とする。

❙板床❙

間口130~143cm

❙土床❙

『床』の上面及び側面を壁土にて塗り、その上から紙を貼った床。
『千家三代/咄々斎元伯宗旦(1578-1658)』の好みとされ『[茶室]梅隠』がこの形式の床となっている。

=床の形式=

現在制作中

❙踏込床❙

別名「敷込床」「ふんごみ床」。
床面と客座の畳の上面を平一面に揃えた床。
『千家二代/千少庵(宗淳)(1546-1614)』の好みとされる。
※枡床、洞床、原叟床にも設けられます。

❙蹴込床❙

床框を設けず、床面と客座の畳との段差に蹴込板を設けた床。

❙押床❙

間口に対し奥行が浅い蹴込式の床。

❙祠床❙

「落掛」と「壁止柱」がなく床の左右一方に袖壁をつけ、袖壁、上部及び内部の壁を壁土で塗った床。
床の間口より床の奥行の方が広くなり「落掛」と「壁止柱」がなく洞窟のようになっています。
※龕破床は両側に左右対称で袖壁がつきます。

❙龕破床❙

『洞床』の一種。
落掛と壁止を省略し、床の両袖に袖壁を付け左右対称とし、上部の壁、両袖の壁、内部の壁を壁土で塗った床。
龕破床は、龕とは仏様の厨子のことで、それが破れたような形をしているところからこの名があるといいます。
※洞床は片側に袖壁がつきます。

❙室床❙

床の入隅から廻縁などすべてを隠すように三方の壁及び天井まで壁土を塗りまわした床。
『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』好みの床とされ『[国宝]待庵』がこの形式の床となっている。
※洞床は片側に袖壁がつきます。

❙織部床❙

『壁床』の一種。別名「八幡床」。
壁面の上部の廻縁下に少し浮かせる形で柱と柱の間に雲板を通し、壁に軸釘を打った床で床板は設けず畳敷きのままとする
『[大名/利休七哲]織部流開祖/古田重然(織部) (1544-1615)』の好みとされる。

❙霞床❙

床の正面(大平壁)に富士の絵を掛けその前に違棚を設け、棚を霞に見立てた床。
『表千家七代/如心斎天然宗左(1705-1751)』の好みとされる。

❙円窓床❙

床の正面の壁に障子や格子の丸窓を開けた床。
また床の中央に円窓の壁を設ける形式もある。
著名なものに『[茶室]時雨亭』『[茶室]皆如庵』などがある。

❙塗廻床❙

別名「塗回床」。
床の中の入隅の柱が見えないように土壁で塗り回した床。
※洞床は片側に袖壁がつきます。

❙釣床❙

壁床の一種。
「床柱」「床框」「落掛」を設けず、天井より釣束を下げ、壁に軸釘を打った床で床板は設けず畳敷きのままとする。

❙円相床❙

別名「洗月床」
「落掛」と「壁止柱」はなく床の前面に円相の壁をつけた床。 
銀閣寺/東求堂『[茶室]洗月亭』が本歌とされる。

❙壁床❙

「床柱」「床框」「落掛」を設けず、壁に軸釘だけを打った床で床板は設けず畳敷きのままとする。
表千家「反古張席」、裏千家「今日庵」、武者小路千家の「行舟亭」

❙置床❙

取り外しができ移動ができる床。
壁床や釣床などと併用することも可能です

❙袋床❙

「床」の左右一方に蓮窓や下地窓を設えた袖壁を付けた床。
床の間口より床の奥行の方が広くなり袋の形となっています。

❙原叟床❙

一畳大の地板の上に床柱をたて下部を吹き抜けにした脇壁を付け上部には落掛を入れた床。
床は踏込床で床面は板敷で床框は無く、畳部分より床面が広くなっています。
『表千家六代/覚々斎原叟宗左(1678-1730)』の好みと伝えられる。

❙枡床❙

方形の地板に床柱を立て上部には落掛を入れた床。
床は踏込床で下部を吹き抜けにしたものや風炉先窓を開けた脇壁を付けます。
『表千家六代/覚々斎原叟宗左(1678-1730)』の好み
聚光院『閑隠席

❙琵琶床❙

床の横脇の半間ほどを一段高くして板を張った床。
一枚板の天板に下は倹飩や引違の小襖が付きます。
昔、琵琶を飾っていたためにこの称がある。
『表千家七代/如心斎天然宗左(1705-1751)』の好み
『松風楼』『雲龍軒』

❙役 ~  ~

現在制作中

=軸釘=

現在制作中

❙竹釘❙

『竹釘』とは床天井の廻縁の下に打込む竹製の釘。
張付壁の場合は設けません。

❙稲妻走釘❙

『稲妻走釘』とは床天井の廻縁の下に仕組み左右に移動できる釘。
『稲妻走釘』を数個仕組むことで二幅対や三幅対などの掛軸や大幅の掛軸にも対応できるようになっています。

❙二重折釘❙

『二重折釘』とは床天井の廻縁の下に設ける釘。

❙走釘❙

『走釘』とは織部床などにみられる雲板に仕組み左右に移動できる釘。
『走釘』を数個仕組むことで二幅対や三幅対などの掛軸や大幅の掛軸にも対応できるようになっています。

❙折釘❙

『折釘』とは織部床などにみられる雲板に設ける釘。

=役釘=

現在制作中

❙花釘❙

『花釘』とは床柱に掛花入を掛けるために設ける釘。
『花釘』には太口と細口があり、広間には太口、小間には細口を設けます。

❙無双釘❙

別名「中釘」
『無双釘』とは床正面の中央に掛花入を掛けるために設ける釘。
古くは折釘を設けていたが掛花入を掛けない際には掛軸が掛かるために掛軸の裏を傷つけないために釘先が出し入れできる「無双釘」が用いられる事となります。
また釘先を閉まった際の形状には「丸」と「平」があり表千家は「丸」、裏千家は「平」を設けます。

❙花蛭釘❙

『花蛭釘』とは床の天井から釣花入を吊るすために設ける釘。
『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』の時代には床の中央に設けていたがやがて今日のように床の前後中央の左右一方に設けることになります。
流儀により設ける位置や釘の向きが異なります。
また花入などの重量物を吊るすため、釘先は宛木を入れ金具で固定する栓差となっています。

❙落掛釘❙

『落掛釘』とは吊花入を掛けるために落掛の中央正面(外側)または裏側(内側)に掛けるために設ける釘。
『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』は内側に『千家三代/咄々斎元伯宗旦(1578-1658)』外側に設けたという。

❙柳釘❙

柳釘』とは初釜に飾る「結柳」を生ける青竹の花筒を掛けるために設ける釘。
小間では「楊枝柱」に広間では「床柱」や「入隅柱」に打ちます。

❙朝顔釘❙

『朝顔釘』とは床横の袖壁にある下地窓などに花入を掛ける場合に設ける釘。
釘先が割足になっていて両側に開いて固定するようになっています。

❙稲妻釘❙

別名「喚鐘釘」「銅鑼釘」
『稲妻釘』とは脇床などの天井に訶梨勒や銅鑼、喚鐘などを吊るす場合に設ける釘。
また銅鑼などの重量物を吊るすため、釘先は宛木を入れ金具で固定する栓差となっています。

❙撞木釘❙

別名「喚鐘釘」「銅鑼釘」
『稲妻釘』とは脇床などの天井に訶梨勒や銅鑼、喚鐘などを吊るす場合に設ける釘。
また銅鑼などの重量物を吊るすため、釘先は宛木を入れ金具で固定する栓差となっています。

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