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茶室と露地

05.水屋

​❙目次❙

めに

現在制作中

とは  ​ ~

『水屋』とは「茶室」に隣接する台所のような場所で「茶事」や「茶会」はもちろんのこと「お稽古」も含めた「点前道具」をはじめ「茶事懐石」「炭」「花」などの亭主側の「準備」や「片付け」をおこなう場所でまたそれらの道具を清め、整頓しておく場所のことです。

 

茶道においては『水屋』は単に道具を清めたり置いたりするだけの場所ではなく『水屋』も一つの学びの場所とされており清潔に保つことは当然のことながら他に道具の扱いや道具の配置などにも決まり事があります。

裏千家の大水屋には『裏千家十三代/圓能斎鉄中宗室(1872-1924)』による「此処ハ側茶室ノ道場ナリ」の教訓が掲げてある。

屋の名称   ~

『水遣』『水谷』とも書き『勝手』ともいう。

現存する最古の茶会記である『松屋会記』には裏方の空間を表す意味で『勝手』の「語」が用いられており、他に天正十六年(1588年)に『[豪商/茶人]山上宗二(1544-1590)』が記した『山上宗二記』には「水ツカウハシリ」と記されていることから「水ツカウ=水遣」「ハシリ=流し」という意味から今日の水屋と同じ用途である「水を遣う流し」と解釈できる。

 

『水屋』の語については諸説あり

  1. 寺社の参道脇や社殿前に建てられた参拝者が手や口をすすぎ清める「手水鉢」や「水盤」を指す『水屋形』の略。

  2. 禅における​「飲食や行動を慎み体の穢れをとる」という「斎戒沐浴」の言葉から「浴」の字を「水」と「谷」に分けあてがわれ「水谷」とされた。

  3. 「水の神」が祀られている奈良の『水谷神社』は化政年間(1804年-1830年)以前までは『水屋神社』と称されており、古くから『水屋』には飲料水の司る神があると伝えられていた茶の湯の精神がそれまでの実用的な『水遣』の字から『水屋神社』にあやかり『水屋』と称され今日に伝わった。

語の由来については諸説あるが江戸時代(1603-1868)の中期以降の書において「水屋」「水ヤ」などの語がみられることからそれより今日まで「水屋」という語が用いられていたことがわかる。

❙斎戒沐浴❙

神事や仏事の行事を取り行う前に心身を清め食事をつつしみ体のけがれをなくすために身を洗い清めることをいう。「斎」は心身を清く保ち「戒」は誤ちを戒める「沐浴」は身を湯水で清めることをいう。

屋​の​歴史​ ​ ~

まだ茶室というものが誕生する以前の室町時代(1336-1573)の喫茶の場であった「会所」には今日のような『水屋』とした独立した場所はなく道具一式を飾る「茶湯棚」があり、また当時の神社などには「茶湯水棚」「水棚」などの「語」が見られることからこれらが今日の『水屋』の原型と考えられます。

 『水浴』という語もみられ当時の亭主は髪や髭を整え身を清め茶の湯に臨んでいたと伝えられており前項の『斎戒沐浴』ということも推測されるが今日ではその設備が現存する茶室は見られない。

 その後「茶室」が誕生してからも今日のような『水屋』とした独立した場所はなく「茶室」の縁側や書院の一部などに棚を置き道具を飾っていたとされています。

やがて『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』の登場により今日のように棚や水皿などが設けられ今日の『水屋』の原型が完成したといわれています。

 

元禄十四年(1702年)には『[茶匠/宗旦四天王]宗偏流開祖/山田宗徧(1627-1708)』が記した『利休茶道具図絵』に「水遣の寸法」として棚板の長さや框、釘の打ち方など寸法が記されています。

屋棚 ~  ~

『水屋棚』とは『水屋』に仕付けた道具を飾っておく棚で一般的な大きさは間口は台目幅の四尺半、奥行二尺程度、高さ五尺五寸程とされ、下に水を流すために竹の簀子を入れた「流し」である「水皿~みざら~」を設置し蓋の竹を取り外しやすくし、底は水が落ちる音を和らげるために舟形するなどの工夫を施します。

 『水屋棚』の形式には流派などによりさまざまであるが大きく分けて「表千家」にみられる柄杓を棚に置くため「水皿」のまわりの腰板を低く、上に二種類の二枚の棚を設え、上部に二重の隅棚を供えた形式と「裏千家」に見られる「水皿」のまわりの腰板を柄杓の掛かる高さにし、上に三種類の四枚の棚がある形式の二つがあげられます。

 他に『水屋』の大きさに余裕がある場合は「水皿」の横に物入や上部に棚や天袋を設けたり、『水屋』の前面を板張りにし「炭」や「灰」を納めるために「榑縁」と呼ばれる切り目の入った板の間を床に設置したりする場合もあります。

電気設備が無かった昔は替えの釜や火を常時用意するために「丸炉」という「炉」が『水屋』に設置されていました。

また古式の『水屋』では今日のような水道設備が無い為に腰板のところに水屋に水を運び入れるための「水上口(水張口)」という小さな口を設けていました。

 その他に『水屋棚』には間口が一間、奥行二尺五寸の『大水屋』や持ち運びが可能な『置水屋』などがあります。

❙水屋​​​道具の設え​ ~  ~

『水屋』には茶道具を置く『水屋棚』が設置されており『茶道具』の置き方には下記のような一定の決まりがあり、整頓された状態を『水屋飾(水屋荘り)』という。

■ 水屋飾(水屋荘り) ■

一、水に関するものは下に

二、火に関するものは上に

三、大きいものや使用頻度の少ないものは上に

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