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千家十職

08.中川浄益 [金物師]

❙はじめに ~ 中川浄益 ~

「千家十職」とは、千家好みの茶道具の制作を業とする十家の職家であり、日本美術(伝統工芸)の中でも特に重要な職人技を受け継いできた家々です。その技法は代々継承され、茶の湯の美と職人の美が融合した作品を生み出しています。

 

その千家十職の一つである中川家は、三千家御用達の「金物師」として「干菓子盆」「建水」「蓋置」などをはじめ代々家元の「御好物」などの制作を業とする職家です。​

中川家の金工品は、茶の湯の厳格な作法に適応しつつ、細部まで緻密な技術と洗練された意匠が施されているのが特徴です。鉄、銅、銀などの金属を用いた造形美と、使い込むほどに味わいを増す仕上げが、千家の茶道具としての品格を支えています。特に、金属の質感を生かした独特の風合いや、伝統的な技法を駆使した彫金・鍛金の技術は高く評価されています。

中川家は、茶の湯の発展とともに技術を磨き、千家好みの金工茶道具を代々にわたり制作してきました。その作品は、時代の変遷を経ながらも、伝統の技法を守り続け、茶の湯の世界に欠かせない存在となっています。

本項では中川家の歴史とそのあゆみについてご紹介します。

​​​それでは「金物師/中川浄益」について詳しく見ていきましょう。

❙中川浄益 ~ あゆみ ~

中川家の先祖は、越後高田佐味郷に居住し、当初は「甲冑」や「鎧」などを制作していたとされ、戦国時代を経て、茶の湯の文化が発展する中で、茶道具の制作に携わるようになったという。

中川家初代・中川与十郎は、茶道具制作を手掛けるようになり、「紹益(しょうえき)」を名乗りましたが、その後の中川家では、二代目以降の当主が「浄益(じょうえき)」の名を襲名するようになり、千家に仕える金物師としての系譜を確立しました。

中川家は「錺師(かざりし)」とも称され「金工」の精巧な茶道具を得意とし優れた「金工」の技術を継承。
その作品は「鉄」を鍛造して制作する『槌物(うちもの)』と鋳造による『鋳物(いもの)』が主である。

江戸時代以降、中川家は三千家に仕える金物師として、茶の湯の世界に欠かせない存在となりました。代々の当主は、千家の求めるわびた風合いや実用性を重視しながら、時代ごとの美意識を反映した作品を生み出しています。

現在も中川家は、伝統の技法を受け継ぎながら、茶の湯の精神にふさわしい金工茶道具を制作し続けています。

NAKAGAWA JYOUEKI

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