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茶道入門

02.茶道の流派

❙はじめに ~ 茶道の流派 ~

「茶道入門」では茶道に初めて触れる皆様が茶道の基本を学び、心を込めたおもてなしの精神を体験できるよう、茶道の基礎を全10項目にわたって、わかりやすく解説してご紹介しています。

 

茶道の流派には、さまざまな美しさと哲学が息づいます。

それぞれの流派は独自の儀式、道具、そして精神を持ち、茶を通じて心と心のつながり大切にしています。流派ごとの特徴や魅力を知ることで、茶道の奥深い世界をさらに楽しむことができるでしょう。

​​それでは「茶道とは?」について詳しく見ていきましょう。

❙茶道の流派 ~ 日本の流儀 ~

流派とは主に日本で用いられる言葉で特定の同じ文化や技術の中で異なる流儀や定義により、それぞれ独自に発展を遂げたいくつかの形式を指します。

今日の茶道における流派の代表例は千利休の三人の孫が創設した表千家、裏千家、武者小路千家からなる「三千家」です。

しかし茶道には「三千家」以外にも多くの流派が存在します。

三千家は千利休を祖として受け継がれてきたものですが、三千家が創始される以前からある流派や、千利休の頃に創始した流派、三千家の流れを汲む流派、近代独自に生まれた流派などさまざまな流派が幾多存在しています。

❙茶道の流派 ~ 三千家 ~

『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522年-1591年)』の提唱した茶道は『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)』の死後、後妻の『千宗恩(生年不詳-1600年)』の連子であった『千家二代/千少庵(宗淳)(1546年-1614年)』を経て、その子である『千家三代/咄々斎元伯宗旦(1578年-1658年)』に受け継がれました。

そして『千家三代/咄々斎元伯宗旦』の三人の息子がそれぞれ家督を継承し『三千家』が誕生することとなりました。


❙ 表 千 家 ❙

「表千家」の詳細については別ページにて解説>>>

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❙ 裏 千 家 ❙

「裏千家」の詳細については別ページにて解説>>>

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❙ 武者小路千家 ❙

「武者小路千家」の詳細については別ページにて解説>>>

❙茶道の流派 ~ さまざまな流派 ~

前述の「三千家」以外にも下記に上げるような流派が存在します。

◆ 利 休 以 前 ◆

❙ 奈 良 流 / 珠 光 流❙

室町時代中期に村田珠光(1423年-1502年)によって創始された茶道の流派です。珠光は、奈良の称名寺で出家し、一休宗純に師事して禅の教えを学びました。彼は、禅の精神を茶の湯に取り入れ、「侘び茶」の理念を追求し、茶事の礼法を確立しました。奈良流は、茶の湯が日本独自の文化として発展する礎を築いたとされています。

❙ 東 山 流 ❙

室町時代中期、足利義政(1436年-1490年)の東山山荘を中心に発展した「東山文化」の影響を受けた茶道の流派です。この時期、能阿弥(1397年-1471年)が茶の湯の発展に寄与し、禅の精神や「わび・さび」の美学を取り入れた茶風を確立しました。東山流は、茶道の精神性や美意識の形成に大きな役割を果たしました。

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❙ 堺 流 ❙

室町時代後期に堺の商人であり茶人でもあった武野紹鴎(1502年-1555年)によって創始された茶道の流派です。紹鴎は、村田珠光の茶風を受け継ぎ、質素で簡素な「わび」の美学を重視しました。彼の茶の湯は、後に千利休へと受け継がれ、茶道の発展に大きな影響を与えました。

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❙ 志 野 流 ❙

室町時代に志野宗信が創始した香道の流派として知られていますが、茶道の流派としても存在します。鳥取県では、鳥取藩の支藩である鳥取東館藩主・池田仲雅が志野流の茶道を好み、流祖像を作り、大谷平奉弘を茶頭として志野流茶道を指導させたことから、因幡地方に伝わりました。現在、鳥取県では「志野流茶道松風会」が活動しており、志野流の茶道の伝統と作法を継承・普及しています。松風会は、定期的な茶会や稽古を通じて、地域の茶道文化の発展に寄与しています。

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◆ 利 休 系 ◆

『利休七哲』『利休十哲』をはじめとする『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』の直弟子を創始者とし一般的に武家茶道と呼ばれる流派。

❙ 藪 内 流 ❙

安土桃山時代の茶人・藪内剣仲(1536年-1627年)を祖とする茶道の流派です。剣仲は、千利休の高弟であり、質素で静寂な茶風を重んじました。藪内流は、独自の点前や作法を持ち、現在もその伝統が継承されています。

公式HP https://www.yabunouchi-ennan.or.jp/

 

 

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❙ 織 部 流 ❙

安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した茶人・古田織部(1544年-1615年)を祖とする茶道の流派です。古田織部は、千利休の高弟として茶の湯を学び、その後、独自の美意識と創意工夫を加えた「織部好み」を確立しました。特に、緑釉を用いた「織部焼」と呼ばれる陶器は、歪んだ形状や自由奔放な絵付けが特徴で、従来の茶道具の概念を打ち破る革新的なものでした。また、茶室の設計にも非対称の美や意外性を取り入れ、形式にとらわれない自由な発想を重視しました。織部流は、その斬新な美学と独自の作法により、茶道界に新たな風を吹き込み、後世の茶人や芸術家に影響を与え続けています。

❙ 上田宗箇流 ❙

安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり茶人でもある上田宗箇(1563年-1650年)が創始した茶道の流派です。宗箇は、千利休や古田織部に師事し、武家茶道の実践的な作法と美意識を融合させた独自の茶風を確立しました。上田宗箇流は、武家社会の礼法と茶の湯の精神を重んじ、現在もその伝統が継承されています。

公式HP https://www.ueda-soukoryu.com/

❙ 遠 州 流 ❙

江戸時代初期の大名であり茶人でもある小堀遠州(1579年-1647年)が創始した茶道の流派です。遠州は、千利休や古田織部の茶風を学び、武家社会に適した格式と優雅さを兼ね備えた茶道を確立しました。その茶風は「遠州好み」と称され、簡素でありながら品格のある美意識が特徴です。遠州流は、武家を中心に広まり、現在もその伝統が受け継がれています。

❙ 有 楽 流 ❙

織田信長の弟である織田有楽斎(1547年-1621年)が創始した茶道の流派です。有楽斎は、千利休に師事し、武家茶道の格式と侘び茶の精神を融合させた独自の茶風を確立しました。有楽流は、質実剛健でありながら、洗練された美意識が特徴で、現在もその伝統が受け継がれています。

❙ 三 斎 流 ❙

戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将・細川忠興(1563年-1646年)、号を三斎が創始した茶道の流派です。忠興は、千利休に師事し、利休七哲の一人として知られています。三斎流は、利休の茶風を忠実に受け継ぎ、丁寧な点前や古式の作法を重視することが特徴です。現在も、三斎流はその伝統を守り続けています。

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◆ 宗 旦 系 ◆

『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』の教えを継いだ孫の『千家三代/咄々斎元伯宗旦(1578-1658)』の流れを汲む『三千家』をはじめ『宗旦四天王』を開祖とする流派。

❙ 宗 偏 流 ❙

千宗旦の高弟である山田宗偏(1627年-1708年)が創始した茶道の流派です。宗偏は、千家の茶風を基礎としつつ、独自の作法や美意識を取り入れ、宗偏流を確立しました。その茶風は、質素でありながら洗練された美しさが特徴とされています。現在も、宗偏流は多くの門弟によってその伝統が受け継がれています。

公式HP https://sohenryu.com/

❙ 庸 軒 流 ❙

千宗旦の高弟である藤村庸軒(1613年-1699年)が創始した茶道の流派です。庸軒は、近江国の久田宗栄の子で、京都の呉服商・藤村家の養子となりました。茶の湯は初め藪内紹智に学び、後に小堀遠州や金森宗和、千宗旦に師事しました。庸軒流は、漢学的素養を取り入れた独自の茶風が特徴で、現在も各地でその伝統が継承されています。

 

❙ 久 田 流 ❙

 

❙ 堀 内 流 ❙

表千家11代・碌々斎の高弟である堀内宗心(1826年-1899年)が創始した茶道の流派です。宗心は、表千家の茶風を基礎としつつ、独自の美意識と作法を取り入れ、堀内流を確立しました。その茶風は、質実剛健でありながら、繊細な趣を持つとされています。現在も、堀内家によってその伝統が継承されています。

 

❙ 松 尾 流 ❙

江戸時代中期の茶人・松尾宗二(1677年-1752年)によって創始された茶道の流派です。宗二は表千家の高弟であり、名古屋を拠点に茶道を広めました。松尾流は、表千家の伝統を基盤としつつ、独自の作法や美意識を持ち、特に名古屋を中心に発展しました。現在も、男性と女性で異なる点前を行うなど、独特の作法が受け継がれています。

 

❙ 江戸千家 ❙

江戸時代中期の茶人・川上不白(1716年-1807年)によって創始された茶道の流派です。不白は表千家7代・如心斎の高弟であり、江戸で茶道を広めるために独立しました。江戸千家は、表千家の伝統を受け継ぎつつ、江戸の文化や風習を取り入れた独自の茶風を持ち、現在も多くの門弟によってその教えが伝えられています。

公式HP http://www.edosenke.jp/

 

❙ 速 水 流 ❙

江戸時代中期の茶人・速水宗達(1727年-1809年)によって創始された茶道の流派です。宗達は裏千家8代・又玄斎から茶道を学び、岡山で独自の流派を立ち上げました。速水流は、裏千家の茶風を基礎としつつ、地域の風土や文化を取り入れた特色ある茶道を展開しています。

公式HP https://hayamiryu.com/

 

◆ 道 安 系 ◆

大阪堺にある『堺千家(本家)』を受け継いだ『千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)』の実子『千道安』の流れを汲む流派。

❙ 宗 和 流 ❙

江戸時代前期の茶人・金森宗和(1584年-1656年)によって創始された茶道の流派です。宗和は千利休の孫弟子であり、華やかで雅な「宗和好み」の茶風を打ち立てました。彼の茶の湯は公家や上流武士の間で愛好され、優美な作法や意匠が特徴です。宗和流は美的感覚と礼法を重視し、現在もその伝統が継承されています。

公式HP https://www.sowaryu.jp/

 

❙ 石 州 流 ❙

江戸時代初期の茶人・片桐石州(1605年-1673年)を祖とする茶道の流派です。石州は千利休や古田織部の茶風を学び、武家社会に適した格式と実用性を兼ね備えた茶道を確立しました。その茶風は「石州好み」と称され、簡素で洗練された美意識が特徴です。石州流は武家を中心に広まり、現在もその伝統が受け継がれています。

公式HP https://sekisyu.jp/

❙ 不 昧 流 ❙

​江戸時代中期の大名であり茶人でもある『松平不昧(1751年-1818年)』を祖とする茶道の流派です。松平不昧は、出雲松江藩の第7代藩主であり、茶道具の収集や茶会の開催を通じて、茶道文化の発展に大きく貢献。茶道の精神性と実用性を融合させた「不昧流」を確立し、独自の美意識と作法を伝えました。不昧流は、質素でありながら品格のある茶の湯を重んじ、現在も多くの茶人に受け継がれています。

◆ 近 代 系 ◆

近代に創始された独自の流派及び系譜未詳の流派。

❙ 大日本茶道学会 ❙

1898年に裏千家13代圓能斎の門人であった田中仙樵の提唱により、初代会長に鳥尾小弥太を迎え、京都高台寺に創立。「秘伝開放」や「茶道本来無流儀」を掲げ、流派を超えた茶道の研究と普及を目指しています。運営主体は公益財団法人三徳庵で、東京都新宿区左門町に本部を構えています。現在も、茶道文化の研究・振興に取り組み、茶道を親しみやすいものとして発展させる活動を続けています。

公式HP https://santokuan.or.jp/

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